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2006年 10月 24日

西宮湯川記念賞

第21回西宮湯川記念賞に肥山詠美子博士(奈良女子大学助教授)が選ばれました。
また初の女性受賞者となりました。

湯川秀樹博士は、兵庫県西宮市在住中に「中間子論」を発表し、
その業績により日本人初のノーベル賞を受賞しました。
同市はこのことを記念して、様々な西宮湯川記念事業を行っています。
その中の1つに理論物理学の研究を奨励するため、
若手研究者(40歳以下)の顕著な研究業績に対して、
「西宮湯川記念賞」を贈呈しています。

厳正なる審査の結果、2006年の第21回記念賞として肥山博士の研究が選ばれました。
受賞研究は「量子少数粒子系の精密計算法の開発とハイパー原子核への応用」です。

肥山博士は1993年に九州大学理学部物理学科を卒業され、
1998年に九州大学大学院の原子核理論研究室で博士号を習得されました。
(指導教官は上村正康元九大教授)
また大学院博士課程のときには日本学術振興会特別研究員(DC1)に選出されています。
その後、理化学研究所基礎科学特別研究員、高エネルギー加速器研究機構助手を経て
2004年より現職の奈良女子大学理学部物理科学科助教授に着任されました。

3体以上の少数粒子系を厳密に記述することは古典力学に限らず、
量子力学においても困難かつ重要な課題です。
肥山博士は、無限小ガウスローブ法という新しい方法を用いて、
量子力学的3体・4体系の束縛状態を精密に記述する普遍的かつ高速な方法を開発しました。
また肥山博士は、この新しい方法をハイパー核
(ストレンジネスという新たな自由度が加わった原子核)に適用し、
ハイパー核の構造について様々な予言を行うと同時に、
当該分野での実験結果に明確な意味づけを行ってきました。
これら一連の研究が当該分野に与えた影響は大きい。

原子核物理学から受賞者が出たのは
1991年の大塚孝治氏(東大)「相互作用するボゾン模型による原子核の集団運動の研究」
1997年の初田哲男氏(当時筑波大、現東大)「核媒質中におけるハドロンの動的構造の研究」
以来で、肥山博士が9年ぶり3人目の受賞者です。
また九州大学原子核理論研究室出身者としては初めての受賞です。

肥山博士がこのような権威ある賞を受賞されたことは、
私自身がそうであるように大学院生たちにとって大きな励みになります。

また肥山博士は、この他にも数々の賞を受賞されています。
・第3回(2001年度)核理論新人論文賞
・平成18年度文部科学大臣表彰 若手科学者賞

肥山博士のご活躍に大いに励まされました。
博士のさらなるご活躍を願っています。
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by knj-sci | 2006-10-24 00:24 | 物理


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